尋常性疣贅の治療と感染予防のまとめ、液体窒素やレーザー費用なども詳しく解説
「なに、このぽっこりしたイボ!」
「いつの間にできたんだろう…」
「髪の毛や洋服で擦れて超かゆいっ」
あなたもこんなことありませんか?
顔から手足にまでできるイボって本当に困ります。
いっそのこと、とっちゃおうかな…とも思いますが、うっかり出血させてしまうと跡が残りそうで怖いです。
実際わたしはネックレスに引っ掛けて潰れてしまい、それがかさぶたになり、結局今ではホクロのようになっています。
そんなイボには
- 肌の角質が溜まって粒になったもの
- ウイルスに感染して起こるもの
2つの分類があるのを知っていますか?
上記によって治し方やアプローチは違ってくるので注意してください。
前者については以前
首イボの原因と治し方、ぶつぶつに効果のある成分やお薬について知ろう
にてくわしく解説しましたが、今回はウイルス性のイボで最も多い尋常性疣贅の治療と予防について
- そもそも尋常性疣贅を引き起こす原因は?
- 感染経路はどこからなの?
- どんな事に気をつけたらいい?
- お薬や液体窒素、レーザー治療に関して
などについてお伝えします。
あなたが今、イボについてどう対処したら良いのか悩んでいるなら、この情報がきっと役に立つでしょう。
それではまいります。
目次
- 尋常性疣贅の症状について
- 原因と仕組み
- 感染経路で注意する事
- 感染する確立や範囲はどれくらい?
- 自然治癒するときはどんな感じで治るの?
- 尋常性疣贅の予防と治療法について
- 液体窒素(凍結療法)の内容と費用
- レーザー治療の内容と費用
尋常性疣贅の症状について
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい、と読みます)とは、誰にでも起こる良性のウイルス性のイボのことです。皮膚科では別名「ウイルス性疣贅」とも称されています。
イボは皮膚が盛り上がってできる小さな丘疹(突起物)で、専門用語では「疣贅(ゆうぜい)」と呼びます。
ちなみに、顔にできるものを「指状疣贅(しじょうゆうぜい)」、足の裏にできるものを「足底疣贅(そくていゆうぜい)」、性器にできるものを「尖圭コンジローム」と部位によって区別します。いろいろな呼び方があるものですね。
尋常性疣贅は、ヒト乳頭腫ウイルス(ヒトパピローマウイルス、HPV)に感染して発症します。
このヒト乳頭腫ウイルスには、100種類以上の種類があり、また皮膚や粘膜など感染する箇所によってさまざまな症状をもらたします。
例えばHPVの粘膜型である16や18型は、年間1万人以上が発症する子宮頸ガンを引き起こすことも分かっており、ウイルスが子宮頸部へ感染することによって進行すると言われています。(現在ではワクチン接種によって予防可能)
イボである尋常性疣贅の場合は、皮膚に感染する型のHPVによるものなので心配いりません。
一般的にイボは乾燥して固く、豆粒くらいで丸く膨らんでいますが、小さな粒が集まってできるものもありますし、中には平坦なものもあります。
色も白や薄い赤みを帯びたもの、黒い点々があるものなどさまざまです。
普通は痛みやかゆみはありません。でも、見た目が気になるので、早く治したいものです。対処法を見る前に、このイボができる原因をまとめておきましょう。
尋常性疣贅の原因と仕組み
イボを作り出す原因となるヒト乳頭腫ウイルスは、健康な皮膚には感染できません。
ただし肌に小さな傷があると、そこから入り込み、皮膚のいちばん深い基底層にある基底細胞に感染し、イボを作り始めるのです。
感染した基底細胞は、周囲の正常な基底細胞よりも活発に分裂し、増殖します。これが表面に現れてイボとなります。
例えば、傷を作りやすい手足、荒れた手、髭剃りで傷ついた肌、外陰部、皮膚炎でかゆい時に爪で掻いたひっかき傷がある場合などは要注意です。
また、免疫力が落ちていると肌を保護するための皮脂分泌などが弱まるため、感染する可能性が高まると考えられています。
尋常性疣贅の感染経路で注意する事
これまで説明したように尋常性疣贅はウイルス感染によるイボです。
しかし現代の医学ではその感染経路は明確にはわかっていません。
その理由わたしたちがよく知っている「風邪」と同じように原因となるウイルスが自然界に常に存在しているからです。
したがって発症していなくても既にこのウイルスを身体内外にもっている人は多く、それが表にあらわれるまで、気づくことが難しいのです。
ただし、これまでの経緯から感染経路として確立が高いのは
という事が考えられます。
具体的には
- 家族で共有しているもの:バスマットやタオル、枕
- 友人・知人と共有するもの:椅子や机
- 不特定多数の人と共有する場所:温泉やプール
などです。
わたしの体験で小学生の頃、夏のプールが中止になった事があります。
あとで聞いた話では、それは「水いぼ」が流行していたからだったとか。
まったくもって風邪の時と似ていますね。
他のイボとの違い、見分け方
尋常性疣贅と似たイボとして、水イボ、年寄りイボなどがあります。
水イボと呼ばれるものは、正式には伝染性軟属腫と呼ばれ、尋常性疣贅とは別の症状です。
そのほか、10代以降の若者に多い青年性扁平疣贅、中年イボとも呼ばれるスキンタッグ、年寄りイボと呼ばれる老人性疣贅、脂漏性角化症などもあります。
このようなイボは、加齢や別のウイルス、肌の不要物などによって発症します。
こちらの詳しい内容については冒頭でも紹介した
首イボの原因と治し方、ぶつぶつに効果のある成分やお薬について知ろう
で解説していますので、そちらをご覧下さい。
尋常性疣贅が感染する確立や範囲はどれくらい?
イボができると、人に感染するかどうか不安になりますよね。
たしかに尋常性疣贅はウイルス性の病気なので、感染によって拡がります。ただし、それほど強い感染力ではないので、すぐ他人にうつるわけではありません。
それよりも可能性が高いのは、自分でつぶしてしまった時にウイルスが拡がり、周囲に新しイボができやすいということです。
特に肌が乾燥してカサカサになっている時や、ムダ毛の自己処理で細かい傷ができている時など、そこから別の箇所のイボが移る事が考えらるので要注意です。
自然治癒するときはどんな感じで治るの?
さきほどまでのお話で、尋常性疣贅に怖いイメージを持った方もいるかもしれません。
しかし冒頭で申し上げたように「良性のイボ」であるため心配はいりません。
その多くは、下記2つのパターンで自然治癒することもあります。
1)自然に取れる
自然に取れる場合は、かさぶたができて、やわらかくなってかさぶたと一緒に取れるというのが一般的なようです。
ただし、かさぶたも黒っぽくなる場合と、白く薄い膜を張ったようになる場合があります。
黒っぽい場合はイボが丸ごと取れますが、白い場合は、薄皮がむけるようにかさぶたが取れ、1回でイボが取れるわけではありません。
白い場合は、何度か繰り返しているうちに根元まで取り除くことができます。
2)自然に消える
いつの間にか気づいたら消えていた、ということもあります。尋常性疣贅は、2年以内に65%~78%が自然に治癒するとされていますので、うまく行けば数年以内に自然に治るわけですね。
尋常性疣贅の予防と治療法について
さきほど尋常性疣贅の感染経路は判明していないと申し上げましたが、予防法のひとつとして、傷を作らないというのは有効です。
ヒト乳頭腫ウイルスは、健康な肌には入り込めないと言われているからです。
髭剃りで傷を作らないようにする、かゆみで肌を掻いて傷を作らない、ハンドクリームを使って肌荒れを防ぐ、靴擦れを防ぐなどの方法でも、イボを予防できます。
また、免疫力が低下している場合、発症しやすいので、日頃から体調には気を配っておくべきです。
尋常性疣贅の治療法
自然治癒できる良性のイボ…といってもそれまで待てない場合や、繰り返しできて収集がつかない状態…という場合は前向きに対策をとるのも良いでしょう。
実際に尋常性疣贅は皮膚科で治療を受けることができます。
簡単な方法は市販薬などを利用して自宅でもできますが、イボ治療で有名な液体窒素やレーザーの内容や治療費まで詳しくご紹介します。
・お薬
スピール膏:シールタイプの軟膏で、800円前後の市販品と医師の処方薬とがあります。サリチル酸のはたらきで角質がやわらかくなり、イボが取れやすくなるそうです。
上記は皮膚科でもらえるもの
スピール膏を貼り、絆創膏で押さえます。5日ほど貼り続けます。汚れた場合は、途中で貼り換えても構いません。白くふやけ、イボをはがしても痛みがなければ、ピンセットでイボを取り除きます。
なかなか完全に取り切るのは難しいですが、うまく行けばスッキリと取り除くこともできます。
イボコロリ:ウイルス性のイボ専用外用薬です。700円前後で市販されています。
こちらもサリチル酸のはたらきで、皮膚をやわらかくさせ、皮膚の再生をうながし、イボを浮かせて取り除きます。
液体タイプの場合、キャップの先の棒に薬液を浸し、患部に塗布します。速乾性があり、白く膜を張り、成分が浸透していきます。
3日~4日塗布を続け、患部が白く変色し、むいても痛まなければ、ピンセットで芯を取り除きます。
絆創膏タイプは、2日~3日貼り続けてから処置をします。中の芯が取れるまで塗布と除去を繰り返します。
1回ですべてを取り切れるとは限りませんが、根気よく続けることで気になるイボを取り除くことができます。
・漢方薬
漢方薬では、イボはヨクイニンで治します。ハトムギから抽出される成分で、年齢を問わず誰でも服用できる安全な薬です。
免疫力を高め、代謝を上げ、肌再生をうながし、イボを小さくする効果があります。
ウイルス性イボに対してヨクイニンの服用だけでは完全に取り除くことは容易でありませんが、保険適用できるので、クリニックでは凍結療法やレーザー治療と並行して用いられます。
ドラッグストアや通販でも購入できるので、イボ対策に自宅で服用するのもおすすめです。
・外科手術
尋常性疣贅はウイルス性なので、単に切除しても再発することがあります。そのため、外科手術はあまり行われません。
ただし、長期にわたり古く硬くなった足裏のイボなどは治りにくいため、外科手術が有効な方法と考えられています。皮膚科ではなく形成外科で行う場合もあります。
・液体窒素(凍結療法)の内容と費用
液体窒素による治療は、イボのウイルスに感染した細胞を凍死させる凍結療法です。
イボの組織にダメージを与えるだけでなく、一時的な凍傷で免疫力が活性化され、肌再生もうながされます。
具体的には、マイナス196度の液体窒素を綿棒につけ、イボに押し付けます。
イボは急速冷凍され、白くなりますが、綿棒を離すと数秒で元の色に戻ります。1回の治療で、この手順を数回繰り返します。5分程度の短時間で処置が済みます。
跡がかさぶたになる、あるいは皮膚が剥がれ落ちたら、再度同じ場所を治療します。1週間か2週間おきに数回行い、イボの中の芯まで取り除きます。
治療回数は、早ければ2回~3回、皮膚の分厚い部分の場合は、10回~15回程度です。早ければ1ヶ月かかりませんが、長くなると3か月~半年かかることもあります。
治療費は健康保険が適用され、1回1000円程度で施術を受けられます。比較的効果が高く、確実な方法です。
効果は高いのですが、やけどのような強い痛みをともないます。場合によっては、炎症反応が強く出て、周囲が赤く腫れたり、血豆ができたり、出血したり、分泌液がにじみ出たりすることもあります。
かさぶたになった後、自然に取れてきれいに治癒することもありますが、芯が残っていると再発します。
芯はしこりのようになっていますので、しこりがなくなるまで治療を重ねて芯を完全に取り除くことが大切です。
・レーザー治療の内容と費用
凍結療法と同じ仕組みで、イボを焼き切る方法です。痛みをともなうので、部位によっては局部麻酔を施し、無痛で行います。
イボを除去した後が残るので、皮膚が元に戻るまで、抗生物質を含んだ軟膏を塗り、ガーゼで保護することが必要です。うまく行くと1回で完治できますが、通常は、3か月から半年程度かかります。
ただ、焼き方が浅いと再発の可能性が高くなり、深く焼くと傷が治るのに時間がかかります。
まれにケロイドを生じることがあります。治療費は、保険適用がないので、病院によって幅があり、1ミリ当たり2000円~5000円で、1回当たり1万円以上かかります。
・その他
杏仁オイル:アプリコットオイルとも呼ばれていますが、イボに効果があると評判です。
美容オイルとして全身に使えるオイルですが、保湿と肌再生のはたらきで、イボに効果的です。コットンに染ませ、イボの上に貼るのが効果的ですが、朝晩塗るだけでも効果があります。
はと麦茶:ヨクイニンの原料であるハトムギのお茶です。美肌効果もあるので、普段のお茶としてもおすすめです。
ゆずの種と椿油:ゆずの種を乾燥させてから砕き、椿油に漬け込み、その椿油を塗ると、約1ヶ月でイボが取れるということです。
以上は、民間療法ですが、手軽にできる方法もあるので魅力ですよね。ただし、効果がはっきりしているわけでないので、お試し感覚でどうぞ。
まとめ
今回は、尋常性疣贅という、ウイルス性のイボについてお伝えしました。イボにはいろいろな形状のものがありますが、そのなかでもこちらはよくあるタイプです。
放っておいても数年で治ると言われていますが、若い人はそれまで待てないかもしれませんし、誰だっていつもキレイな肌でいたいと思うものです。
市販薬でも治療できますが、長引く場合は無理せず、専門医の治療を受けたほうが跡が残らず短期間で治癒できると思います。(治療費もそんなにかかりません)
適切な処置できれいな肌を取り戻せると良いですね。