肌が乾燥して顔の粉ふきが起きる人の原因と改善マニュアル
口や目の周りがカサカサと粉をふいてしまうという顔の粉ふきは、冬の乾燥した季節だけでなく夏でも起こります。
そんな状態のままでは化粧のノリも悪く、触れば触るほどメイクも崩れてしまいます。
「なんだかかゆくてムズムズする…」
と、こすって取ろうとすると、余計にカサカサが増えるだけ…。ファンデーションを重ね塗りしてもかえって逆効果になるなど、治すのはひと苦労。
顔の粉ふきはベースとなるスキンケアから改善していくのがポイントです。
では実際にどうやったらよいのか?今回は顔の粉ふきを引き起こす原因から改善する方法や、女性に起こりがちなファンデーションを付けた時に粉を吹いてしまう場合の対処までご紹介いたします。
ぜひご覧下さい。
目次
顔の粉ふきとはどんな状態?
顔の粉ふきとは、顔の肌が薄くむけて、細かいフケのように剥がれ落ち、それが粉を吹いているように見える状態を言います。
ノーメイクでもカサカサと白く粉をふき、周囲が赤みを帯びることもありますし、ファンデーションを塗っていると、ダマになったりポロポロと浮いてきたりします。
昼間きれいにメイクしたはずの口周りや目元に粉ふきを見つけると焦ってしまいますよね。
このような粉ふきの状態を放置していると、症状が悪化し、赤くはれてひび割れたり、肌が大きくめくれたりするようになります。
肌荒れが元で肌の乾燥が進む悪循環に陥り、キメの乱れた肌のすき間からホコリや雑菌が入り込み、炎症を起こすことも。
負のスパイラルを招く前に、早めの対処が大切です。
顔の粉ふきの原因と仕組みを知ろう
☆顔の粉ふきが起こるメカニズム
顔の粉ふきのいちばんの原因は、肌が乾燥していることです。
(皮膚科ではドライスキン、乾皮症とも呼んでいます)
そのために肌のターンオーバーが乱れ、古い角質がうまく剥がれ落ちなくなり、粉ふきの状態を招きます。詳しくみてみましょう。
・肌の乾燥でターンオーバーが乱れ、角質が硬くなる?!
わたしたちの皮膚は、肌の一番奥の基底層にある時は「基底細胞」、外側の角質層では「角質細胞」「角質」と呼ばれています。
基底層で生まれた新しい肌細胞は、時間をかけて健康で丈夫な角質に成長し、徐々に肌表面の角質層に押し上げられていきます。
そして一定の期間角質層にとどまった後、最後には肌の役目を終えて、洗顔や衣服のこすれで剥がれ落ち、次の新しい角質と入れ替わります。
ターンオーバーとはこの繰り返しです。
ところが肌が乾燥していると、本来うるおいで満たさるべき基底層での「肌を作り出す機能」が低下します。
すると順々に押し上げられる肌細胞のサイクルが滞り、その間に硬くなってしまうのです。
反対に、周期が短い場合も、肌が十分に成長できないまま押し出されて表面に出てくるので、未熟で弱い肌になってしまい、こちらも悪循環を招きます。
このように肌の乾燥によって、皮膚の生まれ変わりがスムーズにいかないと、表面には古い角質がとどまり、肌はこわばって硬くなります。
・硬くなった肌が粉々に!
乾燥によりやわらかさを失い、こわばって分厚くなった肌は、冬の手足のひびのように、細かい亀裂を生じさせます。
亀裂によって肌のキメが乱れ粉々になった角質は、洗顔などの際に剥がれ落ちれば良いのですが、実際には、きれいには剥がれません。
むしろいつまでも剥がれ落ちずに肌に残ってしまいます。
それが、空気の乾燥やメイクの仕方によっては目立ち、粉をふく状態を招くのです。
肌がカサカサになる外的、内的要因5つ
さきほど顔の粉ふきの原因は乾燥と話しましたが、それを招くのは空気などの外的要因と生活習慣などの内的要因があります。
順にチェックしてみましょう。
<外的要因>
1.空気の乾燥による水分量の低下
空気の乾燥は、冬に手足がカサカサになる人も多いので分かりやすいと思います。
例えば肌のうるおいが失われると、切り傷や擦り傷を作りやすくなりますよね。それは肌のバリア機能が乾燥によって低下するからです。
同じことが顔にも当てはまるのですが、顔は新陳代謝も高く、皮脂により潤っているように見えやすいため、空気の乾燥の影響に気づくのが遅れてしまいがちです。
手足が乾燥すると感じたら要注意!すでに顔もパサパサしていますので、丁寧な保湿ケアに切り替えましょう。
最近は夏場でもエアコンの風により、肌の水分量が失われます。
冷えすぎた室内に長くいると、血行が悪くなり、肌が内側から乾燥している状態(インナードライ)になっている場合もあるのです。
2.メイクにより肌に負担がかかっている
顔の粉ふきは、メイクの方法にも影響を受けます。ファンデーション選びや塗り方ひとつで、良くなることもあれば悪くなることもあります。
とくに多いケースは、きれいに見せようとしてファンデーションを厚塗りしているとメイクが崩れやすくなり、それを塗り直すことで肌に負担がかかり、乾燥を進ませ粉ふきの症状を悪化させてしまいます。
ではどうすればよいのか?
適切なメイク方法は、後ほどお伝えしますね。
<内的要因>
3.加齢により水分を保つ成分が失われる
加齢も肌の乾燥を進ませる原因になります。体のさまざまな機能が衰えていきますが、肌に関する機能も同じなのです。
肌の奥の基底層で肌細胞を作り出す機能も衰えますし、水分を保持するコラーゲンやセラミドなども減少していきます。
肌再生が滞り、細胞のすき間の水分が不足すると、健康な肌を保てなくなるのは当然とも言えます。
ハリと弾力のある肌をキープするには、普段からのエイジングケアも大切なのです。
4.睡眠不足による肌荒れ
睡眠不足はお肌の大敵です。寝不足が続くと肌荒れが起きるという経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
肌は夜眠っている間に作られますから、うるおいのある肌を保つためには十分な休息を取ることも必要です。
5.肌に必要な栄養が不足して肌再生が滞る
きちんと3食摂っているつもりでも、バランスが偏っていると栄養不足に陥ります。
栄養不足になると、肌に必要な栄養が行き届かず、健康な肌が作られなくなります。肌再生が乱れ、水分量を保つ機能も低下し、カサカサで血色の悪い肌になってしまうのです。
粉ふきを改善するために摂りたい栄養素には、たんぱく質、脂質、セラミド、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなどがあります。
それぞれ摂り入れやすい食品を挙げてみましょう。
○たんぱく質:角質の主成分で、肌を作るために欠かせない栄養素です。
→大豆、卵、牛乳、肉、魚など。
○脂質:肌を守る皮脂を作る元になり、肌細胞を作る活動の源にもなります。
→植物油、ごま、ナッツ類。
○ビタミンA:肌や粘膜のうるおいを保ち、代謝をうながします。
→緑黄色野菜、レバー、乳製品、卵黄など。
○ビタミンB群:脂質の代謝や粘膜の保護をうながし、健康な肌を作ります。
→レバー、乳製品、卵、大豆など。
○ビタミンC:コラーゲンの生成をサポートする成分です。
→柑橘類、イチゴ、ピーマン、ブロッコリーなど。
○ビタミンE:抗酸化作用を高め、肌の老化を予防します。
→植物油、ナッツ類、海藻類。
以上、顔の粉ふきの原因を5点ピックアップしました。
あなたはどこに当てはまるでしょうか。
続いて、自宅や皮膚科でできる粉ふきの改善法をご紹介します。
顔の粉ふきを改善する方法
○自宅でできる方法
1) 皮脂を落としすぎない!入浴や洗顔はぬるめのお湯で
入浴は、ぬるめのお湯を使いましょう。
熱いお湯のほうが血行が良くなり、肌に良さそうな気がするかもしれませんが、お湯が高すぎると、肌に必要な皮脂も落としてしまいます。
肌の表面は、薄い皮脂膜でおおわれ、外の刺激から守られています。顔の粉ふきは、このバリア機能が乾燥によって失われ、肌が無防備な状態になって起こりますから、熱いお湯に浸かって皮脂を落としてしまうのは致命的なのです。
お風呂は体温と同じぬるめのお湯にゆったりと浸かり、リラックスするのがおすすめです。洗顔は、皮脂を落としすぎるのを防ぐためには、35度程度が理想的です。
2) 洗顔料はマイルドな洗浄力のものを選ぶ
洗顔料は、洗浄力が強すぎないものを使います。低刺激で無添加、肌に負担の少ない天然成分中心の泡立ちの良いものがおすすめです。
洗浄力が強すぎると、必要な皮脂も取り除かれてしまいます。また、洗顔料自体が刺激になり、弱った肌にダメージを与えてしまうこともあります。洗った後にツッパリ感が残るようなものは避けましょう。
クレンジング剤も肌に刺激になる場合があります。特にシートタイプ、オイルタイプは、肌への負担が大きくなりますから、粉ふきが気になる時はできるだけ使わないようにしましょう。
そのためには、メイク落としのしやすい化粧品を使うなど、工夫も必要です。最近は、落としやすいコスメも増えていますので、粉ふきが気になる人は、化粧品選びを変えてみるのも効果があるでしょう。
3) スキンケアは低刺激で保湿力の高いものを
粉ふきの改善には、日頃のスキンケアも大切です。
まずは化粧水や乳液、美容液をみなおしてみましょう。
普段のスキンケア用品をすべて取り換えなくても、保湿力の高い美容液などを1つプラスするだけでも効果があります。
関連記事:保湿化粧水おすすめの成分と選び方、プルプルなうるおいベールを作る秘訣
季節によって刻々と肌の調子は変化しますので、様子を見ながら化粧水を換えたり、美容液を足したりと、肌の状態に合わせて工夫してみて下さい。
また、乾燥して弱った肌にはちょっとした刺激もダメージにつながるので、スキンケアには低刺激のものを選びます。無添加で天然成分配合で品質の良いものがおすすめです。
粉ふきを改善する成分としては、肌に含まれる成分である、ヒト型セラミドや天然保湿因子(NMF)などが効果的です。このような成分を効率よく摂り込める化粧品を選ぶと良いでしょう。
スペシャルケアとしては、保湿力のある化粧水を浸み込ませたコットンでパックをする、ローションパックも良いでしょう。
パックをする時間が取れない場合も、化粧水を二度付け、三度付けして、たっぷりの水分を肌に与えるだけでも粉ふきの改善につながります。
○皮膚科で行う方法
顔の粉ふきが1年中続き、いつまでも治らないという人は、皮膚科を受診すると早く治すことができます。
皮膚科では主にステロイド外用薬が処方され、様子を見ながら強い薬に変えていき、症状が軽い場合は短期間で改善することができます。
皮膚科で処方される薬としては、アルメタ軟膏やキンダベートなどが定番です。乳幼児にも処方される弱い薬で、効き目もおだやかです。
ステロイド剤を避けたい場合は、ヒルドイド、白色ワセリン、ケラチナミンなども乾燥肌を改善するのに効果的な薬として処方されます。
ただし、効き目もそれなりになってしまうので、粉ふきを早くきっちり治したい場合は、症状に合ったステロイド剤を短期間、処方通りに使うというのも良い方法だと思います。
ファンデーションが粉をふく原因
きれいにメイクができたはずなのに、日中になって粉ふきが出てくるとがっかりですよね。ここでは、粉ふきを防ぐメイク方法とメイク直しの方法をお伝えしましょう。
ファンデーションが粉をふくのは、基本的には、肌の状態が悪いことがおもな原因ですが、メイクの方法で状態をある程度カバーすることもできます。
・間違ったスキンケア
スキンケアで乾燥肌が改善できれば良いのですが、保湿が不足していたり、洗いすぎで皮脂を落としてしまったりと、間違ったスキンケアをしていると、いつまでも症状が改善できません。適切なスキンケアで肌の状態を整えましょう。
・ファンデーションが合わない
ファンデーションが肌に合わない場合も粉ふきが起きます。
パウダー、リキッド、クリームなどを使い分け、厚塗りしないことも肌への負担を軽減し、肌の状態を改善することになります。ファンデーションの使い方については、後ほど詳しくご説明しましょう。
・間違ったメイク直し
メイク直しの際に、化粧水を上からスプレーする、ファンデーションを重ね付けする、という方法もありますが、粉ふきには効果的とは言えません。
化粧水はつけただけだとすぐに蒸発してしまうので、保湿できたと思うのはその時だけ。長持ちさせる保湿をすべきです。
また、重ね付けは肌に負担がかかり、かえって肌の状態を悪化させてしまいます。
反対に、ちょっとした工夫で粉ふきをカバーするメイク直しもできるので、ファンデーションの塗り方と合わせて覚えておくと便利ですよ。
こちらも後ほどご紹介します。
ファンデーションが粉をふく時の対処法
1) 化粧水や美容液で肌を整える
化粧水はたっぷり使います。2度づけ、3度づけをするのもおすすめです。十分に水分を与えた後、美容液や乳液で整えます。
2) 化粧下地を使う
粉ふきをカバーするためにファンデーションを重ね付けするのはNGです。その代り、化粧下地を使い、肌を整えておけば、ファンデを重ね付けをしなくてもきれいにつけることができます。
関連記事:化粧崩れ防止の為の肌タイプ別化粧下地の塗り方、テカらないメイクでキレイをキープ!
3) 薄くつける
ファンデーションは薄くつけるのが基本です。厚塗りは肌にダメージを与えますし、化粧崩れの原因にもなります。
パフやスポンジでは厚くなりやすく、ムラも生じやすいので、メイクブラシを使うと、均一で自然な仕上がりになります。
4) ファンデーションの種類を使い分ける
リキッドやクリームファンデーションを頬や額につけてから、余った分を口や目の周りにつけます。スポンジやパフよりも手でつけるのがおすすめです。仕上げには、パウダーをメイクブラシでつけましょう。
関連記事:乾燥肌のファンデーションの選び方と塗り方、キレイに仕上げる基礎知識
5) スペシャルケアはピーリング!
ピーリングは、粉ふきを治すスペシャルケアになります。古い角質を取り除くので、やわらかい肌を取り戻し、ファンデーションのノリも改善できます。
ただし、肌が荒れた状態でピーリングをしても逆効果になるので、ある程度肌を整えてから行うのが効果的です。
粉ふきを抑えるメイク直しの方法
粉ふきを抑えるメイク直しの方法があります。乳液かクリームが手元にあればすぐにできるので、覚えておくと良いでしょう。
・粉ふきが気になる部分に、乳液やクリームを乗せます。
・指先でクルクルとなじませます。メイク剤と混ざりますが、気にせずクルクルと。
・肌になじんだら、上からファンデーションかパウダーを軽くはたいて出来上がり!
シミや吹き出物などがある時は、指先で乳液などをなじませた後、コンシーラーでカバーし、仕上げにファンデーションかパウダーを使います。
顔全体が広く粉を吹いている時は、適量のクリームを手に取り、両手で顔に押し当てるようにしてゆっくりとなじませます。
肌がしっとりしてきたら、仕上げにファンデーションかパウダーを使いましょう。
まとめ
今回は、顔の粉ふきについてお伝えしました。
冬の乾燥した季節だけであれば、一時的に保湿を心がけ、メイクを工夫することで乗り切れるかもしれませんが、季節を問わず粉ふきが続く場合は、内的要因が大きいことが予想できます。
その場合は、生活習慣を見直し、スキンケアも保湿力を高めるものに変えるなど、積極的に工夫することが必要になります。
粉ふきは人目が気になってしまう症状だと思うので、早めの対処で治し明るい笑顔で過ごしましょう。